長年据えられた玉垣は、老朽化していきます。雨風にさらされ、土台の内部に水が浸透して石積みが壊れたり、玉垣が傾いたりすることがあります。基礎が強固に整備されていなかった場合、次第に全体的に沈下していきます。また、柱石の間に金属を貫通させている場合には、その穴から石が風化し割れ落ちることもあります。
玉垣が傾いた場合は、基礎のやり直しから考慮することも必要です。たとえば、玉垣近くに位置する池の排水土管が地中でつぶれて、水が地盤に浸透し玉垣が傾いたケースでは、池の底を粘土で補修し地盤を整備した後、基礎を打って建て直しました。基礎地盤にあった昔の腐葉土が原因で玉垣が傾いたこともありました。
このように、傾いたり、劣化した玉垣は非常に危険です。事前に事故を防ぐために、早めの修復や新設をおすすめいたします。昔から地域に根付いた神社の玉垣だからこそ、大切に次代へ繋げていきたい。私たちは、そんな思いに全力でお手伝いさせて頂きます。弊社は京都を中心に様々な寺社にて、玉垣補修に携わってきました。
施工事例
【仁和寺萬霊搭】
仁和寺八十八カ所の最後の札所寺院の裏側に位置する萬霊搭を取り囲む玉垣。経年劣化によりガタツキが激しくなってきたため、復旧工事を行いました。地中深くまで埋まっている7寸程の大きな玉垣で、重量があったので、カニクレーンを用いて取り解きました。古石のため、大きさが一定ではなく、高さを測りながらも見た目のバランスも考えて据え付けました。割れている笠石はボルトで接着し、最後には萬霊搭も水洗いを行い、綺麗に復旧されました。
【天穂日命神社】
台風被害により、木の根と干渉していた玉垣が崩れた神社の復旧工事を行いました。掘削の後、伐根作業を行い、地面を整えました。基本的に既存石を活用し、壊れた間知石や玉垣のみ新材と取り替えました。既存石を用いながら、元通りに復旧できたことに、お施主様は大変喜んでくださいました。