四半貼
社寺建築における床石は、正方形の石を45度で斜めに貼る、四半貼り(しはんばり)が多く見受けられます。四半敷きとも呼ばれます。四方の隅には三角形の石が入ります。右斜め方向と左斜め方向の双方の目地が綺麗に一直線に通り、尚且つ四方の三角形の石がずれることなく納めることが非常に難しく、高度な技術が求められる施工です。
たとえ1㎜のずれであっても、列が増える度に1㎜ずつズレていくため、右端と左端では数センチの誤差が生じてしまう、ということもあります。そのため、実際に石を据えるまでに、目地の位置を確定させ、入念な墨出しを行う必要があります。
施工事例
大阪府茨木市の神社の拝殿新築工事では、約60㎡の四半貼りを行いました。四半敷を取り囲む地覆石や沓石の形に沿って、現場で石の小加工も行いました。
また、京都府八幡市の文化財指定の門改修工事では、四半敷の床石をそれぞれに番号を付けて記録をした後に取り解き、据え直しを行いました。新しい石材を使用するときに比べて、古石を再利用して据え直す時の方が、手間と技術が必要です。それぞれの石の厚みや大きさがバラバラな中で、上手く調整させながら、現場を納める必要があるからです。こちらの現場では、砂とセメントを使って実際に据え始める前に、まず砂据えで石を仮置きし、実際に納まることを確認した上で、本据えを行いました。
【護王神社】
猪神社としても有名な京都の護王神社。お土産売り場の床部分をコンクリート仕上げから、黒御影石に改修しました。一般的な馬貼りではなく、四半敷にすることで、見た目が引き締まりました。水が溜まって滑らないように、勾配が緩い部分は現場で追加加工を行い、段差なくバリアフリーの仕上がりになりました。